人生を題材にした映画3
また、悪妻だったと言われている鏡子との関係もポイントの一つとなっているが、この芝居の鏡子は、夫の癇癩にもめげずに明るく尽くす良妻になっている。
元気いっぱいに大活躍する坊っちゃんをはじめ、歌やダンスで面白おかしく展開する虚構の世界は映画らしい楽しさにあふれている。
しかし、この作品の主役は夏目漱石だ。
創作に苦しみながら、自分の創りだした登場人物たちに癒されて変化していった漱石は、『坊っちゃん』を書き終えた後、これまでと違う目で現実世界を受け入れるのだ。
明治という時代背景も、一種ノスタルジックな匂いを感じさせて好ましい。
日本の創作映画の一つの方向性を明快に示した佳作である。